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sims物語45 「最後の希望」

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久しぶりに見るその顔は、痩せこけて、顔色も大分悪かった。
数十分・・・数時間か。
その顔を静かに見守っていた。
先ほど、説明に来た医師の話によると
もう身体も限界に近いという。
今夜が山場ではないかとのことだった。

病院に運ばれた経緯は、
この街のはずれにある小さな釣り場のベンチで倒れているのを
地元のカップルが見つけて119番通報したのだという。



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そこで何を考えてたのだろう。
自分の最期を1人静かに迎えようとでも思っていたのだろうか。
そこは・・・何か思い出でもあるのか?

・・・そんなことはもうどうでもいい。

ただ、エミリが来ることを祈っていた。
彼には彼女しか救えない。
命に限りがあろうとも
せめて心は救われるだろう。


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(じいさん、本当にいいのか?これで・・・。違うだろ?孫と思い出作るだけじゃないだろう?)

「ちゃんと仲直りしろよ・・・。ちゃんとスッキリしてからくだばれよ!!じいさん!オイ!!」
やりきれない気持ちがコウジの心を襲う。
親子のくせに
血の繋がった親子なのに・・・
こんなにこじれたままでいいのかよ・・。
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「こんな事ってないぜ・・・じいさん」



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「・・・・・・・来てくれたのか・・・」


「じいさん!?」
「・・・グォホンオホン!・・・わしもまだ生きてるとはな・・・」
咳をしながら、ガラガラに乾いた声を搾り出した。
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「じいさん、悪い。娘にはすぐ伝えたんだが・・・」
「いいんじゃ。今更許してもらえるとは思っとらん・・・・」

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「お前には本当に・・・・感謝しているよ・・・」

「じいさん・・・」
「お前さん、親父さんはまだいるのか?」
「あ?」
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じいさんは力を振り絞って少し腰をあげる。
「親父さん・・・いるか?」
「さぁな」






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「・・・・・いや、くたばってるかどうかも知らねぇが、くたばってたらラッキーだ。くだらない奴だったからな」
「・・・」


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「・・・許してやれ。」
「!」

「お前の親父がどんなだったかは知らんが、子を愛してない親などおらん」
「・・・どうかな。」

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「親はどんな間違いを起こしても・・・心の中には必ず子の存在が大きく、愛もある・・・」
「俺のことはいいんだよ!じいさんはどうなんだよ!!」

「わしは手遅れじゃった。もっと早く行動しておけばな・・・・」
「まだ・・・間に合うじゃねぇか!」

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「お前の親父さんに、わしのような気持ちにさせてはならん・・・」


「・・・」




2人は沈黙した。
未来の見えない会話だ。
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「お父さん!」


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「エミリ・・・・・」

そこにはエミリが立っていた。
コウジから話を聞いた後、しばらく悩んでいた。
命に限りがある。


許すのは今しかない、
今、会いにいかなかったらきっと
後悔する。
どこかで誰かが説得している気がした。
多分その声は、もう一人の自分、
病死した母親、そしてコウジの想いだったのかもしれない。

どんな人間でも
たった一人の父親だ。
行かなきゃいけない・・・。

それが自分の答えだと思った。


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ガタ・・・
コウジは黙って席を外した
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「エ・・・エミリ・・・・」

おじいさんは目に涙を浮かべて驚いた。
まさか・・・来るとは思っていなかった。
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「お父さん・・・ごめんなさい・・・私・・・変に意地になってたのかもしれない」
「あぁ・・・エミリ・・・お前」

「あれから考えたの。今まで許せなかったのは、どうしてもお母さんを苦しめたのがお父さんだっていう思いがあって・・・。でも、お母さんは最後までお父さんを気にかけてた・・・」

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「『お父さんをあまりせめないで。喧嘩ばかりしてたけど・・・彼は悪い人じゃないの』って言ってたの」
「・・・」

「私、それでもお父さんを許せなかった・・・。お母さんの気持ちを無視して、全部お父さんのせいにしてたの・・・ごめんなさい・・!!」
「わしが・・・悪いんじゃ・・・エミリ、お前がココに来てくれただけでわしは・・・」

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「お願い、アニを抱っこしてあげて?まだ死んだらダメよ・・お父さん・・・」


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「わしは・・・こんなに嬉しいことは・・・ないよ、エミリ・・グォッホンゴホン・・・」

「お父さん!?」
「大丈夫じゃ。本当に悪かった・・・エミリ・・こんな父親で、本当に悪かった・・・」
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「グフングフン・・・・もう少し生きていたいと・・・希望を持つのは久しぶりじゃよ・・・」
「お父さん、ごめんね・・・ゴメンネ・・・」

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コウジは心底ホッとしていた。
安心したのだ
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これで、浮かばれるじゃないか
じいさんも生きる希望が持てたじゃないか


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自動販売機でドリンクを飲みながら
自分を落ち着かせていた。

人の死に目に合うのは初めてではない。
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許すって簡単なことに思えて
とても難しい
考え方ひとつで
どうにも転がることができる

でも、それができる人間はごく一部の強い奴だけ・・・。
大半は弱くて、誰かのせいにして逃げてるだけだ。

誰かを悪者にしておけば
別の誰かを守ってる気でいる、自己満足にすぎない。




















それから数時間がすぎていた。
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カチ・・・カチ・・・カチ・・・


院内の時計の針の音が鳴り響いてるように聞こえる。
病室の中からはもう声は聞こえない。

定期的にナースが様子を見に来ているが、
相変わらず顔色が悪い。
痛みもあるようで、とても苦しそうにしているそうだ。




「お父さん!?お父さんしっかりして!」
突然エミリの泣き叫ぶ声がした。

バタバタバタ・・・!!
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専門医やナースが走って病室に入っていく。
「じいさん!?」

コウジもすぐに病室に入る

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突然、苦しみ出した。
おじいさんの体力はもう限界だった。
しかし、すぐにスーっと身体に力が入らなくなっていった。


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やがて・・・

医師とナースに囲まれ
愛する娘に見守られ

苦しむ顔を覗かせながらも
フと幸せそうな表情を浮かべながら
眠るように
静かに息を引き取った。


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「0時23分、死亡確認いたしました・・・」

長居蔵之介は、最後の最後で
心の重荷を下ろして
幸せそうに逝った。
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「お父さん・・・・・・」

エミリは声を殺しながらも泣きながら見送った。
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「・・・」
コウジは病室を出て、ギュッっと拳を握り
出てきそうな涙をこらえた。

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(じいさん、良かったじゃねぇか・・・許してもらえてよ・・・)

身体が悲しみで震える。
最後に、じいさんに言われた
『お前の親父さんに、わしのような気持ちにさせてはならん・・・』

という言葉が頭をぐるぐるさせるが・・・








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(悪いな、じいさん・・・俺は・・・まだ許せそうにねぇんだよ・・・)




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